労働職人口が減少することへの、企業の対処を期待していたのですが、そういうことではなく、国レベルの対処について書かれてあります。これはこれで示唆に富む内容です。
数年前に製造業の就業者が1千万人を切ったというニュースがありましたが、それの1.5倍の人口減の社会が来ることを前提に、いろいろな施策を打っていかなければ、この国は立ち行かなくなってしまうようです。
企業にとっては、「生産の海外移転」、「移民受け入れを推進」、さらに「製造業ではなくIT・金融を含む高度サービス業への転換が必要」との提言は、大きな意味を持ちます。単純な製造ではなく、センサー、ソフトウエアを組み合わせ、ファブレスの脱製造業化が方向なのかもしれません。
また、高齢社会でも年金財政を破綻させないためには、より生産性の高い産業を伸ばし、賃金を物価以上に上げないといけないようです。特に利益率の低い製造業には耳の痛い意見でしょうが、本質です。
それにしても、高齢化率、介護保険、年金財政の問題は2030年代に一番の危機が来るそうです。2030年というと僕が65才の年です。人ごとじゃないんですよね。
野口悠紀雄 2040年「超高齢化日本」への提言
2016年5月12日木曜日
2016年5月5日木曜日
流星ワゴン / 重松清
久しぶりに小説を読みました。
涙なくしては読めませんでした。
父親と息子の関係というのは、やはり気持ちが入ってしまいます。
この小説にあるように、親になると子どもの歳に自分が戻り、そのときの親がどう考えていたのかをよく考えるようになります。練習のない一回しかない人生で、自分と子どもとの関係を探るにあたって、親と自分の関係の記憶があることは貴重です。でも、僕は親と違い、子どもも僕と違うんですよね。そう単純じゃありません。
人生は思わぬところがターニングポイントとなって未来が変わっていく、後から考えるとそんなもんだろうなと思います。普通は主人公のように、それがターニングポイントだと後になっても気づかないんでしょうね。
過去に戻って現在と行き来する話ですが、残念ながらバックトゥーザフューチャーのように、現実は変えられません。
後戻りできない現実を、後悔しながら、勝ったり負けたりしながら、そのときそのときを真剣に生きていくのが人生なんでしょう。
悪人が出てこず、なんとなく希望で終わる読後感は、爽やかです。
涙なくしては読めませんでした。
父親と息子の関係というのは、やはり気持ちが入ってしまいます。
この小説にあるように、親になると子どもの歳に自分が戻り、そのときの親がどう考えていたのかをよく考えるようになります。練習のない一回しかない人生で、自分と子どもとの関係を探るにあたって、親と自分の関係の記憶があることは貴重です。でも、僕は親と違い、子どもも僕と違うんですよね。そう単純じゃありません。
人生は思わぬところがターニングポイントとなって未来が変わっていく、後から考えるとそんなもんだろうなと思います。普通は主人公のように、それがターニングポイントだと後になっても気づかないんでしょうね。
過去に戻って現在と行き来する話ですが、残念ながらバックトゥーザフューチャーのように、現実は変えられません。
後戻りできない現実を、後悔しながら、勝ったり負けたりしながら、そのときそのときを真剣に生きていくのが人生なんでしょう。
悪人が出てこず、なんとなく希望で終わる読後感は、爽やかです。
2016年5月3日火曜日
10.8 巨人vs.中日 史上最高の決戦 / 鷲田康
ペナントレース終盤で2位のカープの優勝がなくなった時点で、プロ野球に興味を失っていたので、ジャイアンツが優勝したとラジオで聞いても、ああそうか、程度だったと思います。
この本を読もうと思ったのは、テレビ番組でこの試合を取り上げているのを見たからです。
そこには、最高の舞台を楽しんでいる長嶋監督と、最高の舞台で使ってくれたことを意気に感じて活躍している桑田投手の姿がありました。長嶋には人間的魅力を感じているものの、監督としては評価していなかったのですが、少し見方が変わりました。
この本でも、槇原、落合、桑田らと人間的信頼関係を結び、試合前に自ら選手たちを鼓舞する長嶋の姿があります。監督辞任の危機感を選手たちが共有し、監督を中心に戦う戦闘集団になっていった経過が、多くの証言をもとに構成されています。
ハイライトはやはり桑田とのやりとりです。試合前日に「痺れるところで使うからな」と伝え、7回から桑田を投入します。見事3回を抑えた桑田は、胴上げが終わってレフトスタンド側に走る長嶋を捕まえ、指を1本立てて「(日本シリーズで)もう1回やりますよ、もう1回」と興奮気味に言います。
指揮官は、最高の舞台を用意してそれを自ら楽しみ、主役である選手たちに最高の活躍を期待し、選手たちはその期待に応える。そんな経験ができたらいいだろうな、と思います。
(中日サイドの証言も多くありますが、いつも通りの野球をやろうとした高木監督と、特別の試合を演出した長嶋監督の対比に使われているように思います。ここに書かれてあるのは結果論なので、本としては「江夏の21球」のようにもう少しジャーナリスティックな部分もあってもいのではないかとも思いました。)
2016年5月2日月曜日
知識創造企業 / 野中郁次郎,竹内弘高
有名な、暗黙知と形式知の知識変換の4つのモード、すなわち「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」のサイクルが、松下電器、キヤノン、花王、シャープ、日産、キャタピラ三菱などの実例を用いて紹介されています。
また、組織的に知識創造=イノベーションが起こる条件として、「意図」「自律性」「揺らぎとカオス」「冗長性」「最小有効多様性」をあげています。
一見ムダと思える二重性や混沌とした状況を、いかに作り出せるかどうかにかかっている、というところに興味をひかれました。
一方で、この本で紹介されたその他のコンセプト「ミドル・アップダウン・マネジメント・モデル」や「ハイパーテキスト型組織」といった言葉は定着していないように思えます。
さらに残念なのは、二項対立からの飛躍を掲げながらも、日本的/西欧的といった二項対立から出発している点と、ここでケースとしてあげられた日本企業のいくつかが、その後苦境に陥ってしまった点です。基本的には「甘えの構造」と同じような文脈で語られていると思います。
これからの複雑化した世界では、日本も西欧も他もひとつひとつ特殊なのだというグローバル視点が必要とされているのでしょう。
2016年4月17日日曜日
生きがいについて / 神谷恵美子
ハンセン病で隔離施設で暮らしている人、死刑囚、死を目前にした病人、そういった究極の場に置かれた人の眼を起点に、「生きがい」とは何かを考え、そしてそこから広くわれわれ一般の「生きがい」を考えたエッセーです。
夢や目的が生きがいだと言うのではなく、何か前に向かって進むこと、そういった生を営むこと自体が、いきることの「はり」になり、生きがいになることもあると言います。極端にいえば、目標が達成されなくてもいい。定年退職した人にとって、「きょういく=今日行く」ところがあるということが重要なのだ、という話を思い出しました。
また、後半では宗教的な面から生きることの意義についても言及しています。僕には、宗教的な目覚めの体験はありませんが、「ひとは生命の一部であり、生命に支えられ育まれてきた」そして、さらにいえば「宇宙の一部である」、という言葉は重いです。生命の一部としてこの世に生を受けたこと自体が、生きる意味なのです。人間は高等な脳を得るに至り、生の意味を問わなければ済まなくなりましたが、たとえば雑草にとっては、一個体として、種として、生命体の一部として生を全うすることが、「生きる」ということなのです。
自分の内と外ということにとらわれず、すべてのものの一部である、という意識を持てば、おのずと行動も変わってくるかもしれません。
2016年3月12日土曜日
大局観 / 羽生善治
この本のタイトルは「大局観」ですが、大局観について書かれてあるのは一部で、大半はいろいろなテーマに関するエッセイです。
一番驚いたのは、『私はこれまで、何と闘うという目標を立ててやってきていない。信じていただけないと思うが、常に無計画、他力志向である。人生は突き詰めてはいけないと思う。』というところです。
レベルがあるとは思いますが、長期的目標を定めず、目の前のことを精いっぱいやる、というのは天才ならではなのか、才能あることを生業にできる幸福な人生だからなのか。坂東玉三郎も同じようなことを言ってました。
確かに人生を突き詰めすぎると、確かに窮屈になります。
さっぱりとした生き方ですよね。
2016年3月5日土曜日
失敗の本質 日本軍の組織論的研究 / 野中郁次郎他
この本では6つの戦闘をテーマに分析していますが、どれも日本軍の負け戦ですので、非常につらい気持ちになります。
緒戦は快進撃を続け、真珠湾攻撃から半年後のミッドウェー海戦においてターニングポイントが訪れます。そこからの敗戦史を見ていくと、なぜあと3年も戦争を続けなければならなかったのか疑問に思います。多くの人を犠牲にして。
この本では、日本軍を敗戦に導いたいくつかの特徴を挙げています。
- 戦略や目的を共有することを怠ったまま、戦略や目的が異なった現場行動を許容し、または現場を知らない参謀が戦闘現場の指揮に口を出す。
- 軍の人事において、結果よりプロセス、合理性より人間関係を重視。=空気の支配→猪突性重視より、異端の意見者を排除。
- 誰でも使える標準化兵器の大量生産ではなく、職人芸と強固な精神により個々の戦闘に勝つ。
- 戦略、戦術の柔軟性なし。日露の成功体験を純化し、コンティンジェンシー・プランなし
- 大陸制覇を目的とした陸軍(想定敵=ロシア)と、大洋制覇を目的とした海軍(想定敵=アメリカ)のバラバラな戦争。
- 敵戦力の過小評価。
- 終戦観が欠如したまま戦争に突入。
そういった自己否定を含む学習ができる組織であったことを本書では評価しています。
この時代のこの戦場での反省ではありますが、教訓は現代の日本にも共通するところがあります。だからこそ著者らはこの数十年前の戦争を取り上げ、研究をしようと思ったのではないでしょうか。
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