2017年4月30日日曜日

経営戦略を問いなおす / 三品和広 (2006)

経営戦略とは、「機」を捉える経営者の時代認識の下、「立地」を選び「構え」を築き「均整」を整えることだそうです。
経営者の歴史観、世界観、人間観に裏打ちされた事業観により導き出され、コンテキストと人に依存する特殊解が、戦略だと言います。そういう意味で、経営は「為す」のではなく「読む」が真髄となります。
そこでは、売上は伸ばすものではなく、選ぶものとなります。

なるほど、と思いますが、自分でやるとなると、どうしていいのやら...
厳しいものだと思います。

第1章 誤信
  1. いつでも誰でも戦略?
  2. 何が何でも成長戦略?
  3. 戦略はサイエンス系?
第2章 核心
  1. 立地
  2. 構え
  3. 均整
第3章 所在
  1. 戦略は部課長が考えろ?
  2. 我が社には戦略がない?
  3. 戦略は観と経験と度胸!
第4章 人材
  1. 企業は人選により戦略を選ぶ
  2. 傑物は気質と手口で人を選ぶ
  3. 人事は実績と知識で人を選ぶ
第5章 修練
  1. 1.文系学生に送るメッセージ
  2. 2.中堅社員に送るメッセージ
  3. 3.幹部社員に送るメッセージ

2017年4月25日火曜日

LIFE SHIFT / リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット (2016)

The 100-Year Life

living and working in an age of longevity

100年時代の人生戦略


2012年の「ワーク・シフト」の続編ともいえる、人生100年時代における生き方を示した書です。

産業革命以降、寿命が右肩上がりで伸びており、人生100年時代がそこに来ています。
今までは、教育、仕事、引退という3ステージモデルの人生が普通でしたが、これからはその前提が崩れるであろう、とのことです。
この本の中では、1945年生まれのジャック(典型的な3ステージモデル)、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーン、この3人を例にして、徐々に寿命が延び、それにつれて人生設計が変わってくる様子を描いています。
ジミーは仕事上の転機をさらに1回する3.5ステージ、4ステージモデルとなり、ジェーンは5ステージなどのフレキシブルな人生モデルとなる。
皆、先人の人生を参考にできず、新たな人生を考えなければなりません。
そのためには、レクリエーションで時間を過ごすのではなく、リ・クリエーションして自分を磨いていかなければなりません。金銭的資産も大事ですが、それと同じくらい見えない資産(生産性資産、活力資産、変身資産)を大切にしなければなりません。
いちばん大切なのは、人的ネットワーク、グラットンの言う「ポッセ」あるいはウィーク・タイズの人間関係であるようです。

僕は、ジミーと同じような世代。自分の親や先輩のような3ステージモデルでは生きていけないはずです。示唆に富んだ本です。

序 章 100年ライフ
第1章 長い生涯――長寿という贈り物
第2章 過去の資金計画――教育・仕事・引退モデルの崩壊
第3章 雇用の未来――機械化・AI後の働き方
第4章 見えない「資産」――お金に換算できないもの
  1. 生産性資産 : スキルと知識、仲間、評判
  2. 活力資産 : 健康、バランスのとれた生活、自己再生の友人関係
  3. 変身資産 : 自分についての知識、多様性に富んだネットワーク、新しい経験に対して開かれた姿勢
第5章 新しいシナリオ――可能性を広げる
第6章 新しいステージ――選択肢の多様化
第7章 新しいお金の考え方――必要な資金をどう得るか
第8章 新しい時間の使い方――自分のリ・クリエーションへ
第9章 未来の人間関係――私生活はこう変わる
終 章 変革への課題

2017年4月8日土曜日

戦略暴走 / 三品和広 (2010)

ケース179編から学ぶ経営戦略の落とし穴


資本参加、M&A、多角化、海外進出、川下進出、不動産などの戦略暴走がこれでもか、というくらい集められています。
創業者、二世、サラリーマン経営者、親会社から送り込まれた経営者など、主役は様々ですが、カリスマ経営者ではない普通の人が暴走するのが意外と多いことに驚かされます。

円高や日米貿易不均衡の時代に、アメリカに進取し多額の投資をしたが、中国の台頭に合い、何倍もの損失を喰らったようなケースもありますが、それも三品先生にかかれば、バッサリです。本業が低迷し、違う事業に手を出したケースも多くあります。同情してしまいますが、創造性の欠如だそうです。
普通に状況に対応した結果が悪かっただけではないかと思ってしまうだけに、かなり衝撃的な本でした。

バンドワゴンをさわやかに見送る勇気が必要だと。「みんながやるからやる」ような手は、必ず賭けで負けるはずだと。
暴走して失敗した企業は、利益率の低下か成長率の低下の末に、暴走に走っているとの分析もあります。その時に初めて手を打つのではもうすでに遅い、とのこと。

遠くの一点を見据えて事業を行い、創造的な経営をすべし。そういうメッセージと受け取りました。

2017年3月4日土曜日

データサイエンス超入門 / 工藤卓哉、保科学世 (2013)

~ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方~

うーん、統計学のパートはちょっと難しかった。入門に超がつくのでこれくらい普通の人ならわかるのかな?

データーサイエンティストは、

  1. データを活用したビジネスを企画する力
  2. データサイエンスを支える統計知識
  3. アナリティクスを実現するITスキル
の3つが必要だと言う。
その筋に沿って、それぞれに解説を加えており、筋書的にはわかりやすかった。

統計については、非常にわかりやすく伝えようという意図も理解するし、書かれてあることは理解できたが、実際に応用しようとすると、難解な数式を活用しなければならないようで、急激にハードルが高くなる。

でも、こういうのを使いこなすことができたらカッコいいんだろうな、と思う。

2017年2月17日金曜日

業務改革の教科書 / 白川克、榊巻亮 (2013)

―成功率9割のプロが教える全ノウハウ―

業務改革の手法を探してこの本を読みましたが、少し中身が違いました。
手法ではなく、プロジェクトの進め方の本でした。

著者は、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(僕も過去に一緒に仕事させてもらったことがあります)のコンサルタントで、その数多くのプロジェクト経験をもとに、「こう進めたらいい」、「こういうところが落とし穴」、といった経験則が率直に、体系的に語られています。
面白いのは、章立てとは別に、各項にアルファベットがつけられていて、ちょうどAからZまでになっていることです。プロジェクトの進め方ABCということでしょうか。

著者の経験の範囲は、広い意味では業務改革プロジェクトなんでしょうが、狭い意味ではシステム構築を伴うプロジェクトが多いのではないかと推測しました。

コンサルという立場上、どうしても社外の目での指摘でもあり、そういう意味では限界があるのでしょうが、なかなか的を射たものも多くあり、共感もできました。プロジェクト管理の教科書的な表現や定見はほとんどなく、本当に経験から導き出されたもののようなのがいいところじゃないでしょうか。
「教科書」と大仰なタイトルになっていますが、確かに手元に置いて、いろんな局面で参考にしたいような本です。

しかし、「成功率9割」というのは、何をもって成功というのかの定義がそれぞれなので、何とも言えません。僕の知っているシステム開発を伴うプロジェクトは、100%の満足度で終結したことはありませんでした。プロジェクトは途中で曲道を迎え、行き止まりを回避しながら、どこかで妥協し、成功と言える一線を引き直し、ある種の不満を抱えながら終結するからです。をれを「成功率9割」というのは、コンサルタントとしての真摯さを疑いますが、出版社がつけたサブタイトルかもしれませんしね。


2017年1月28日土曜日

V字回復の経営 / 三枝匡 (2001)

2年で会社を変えられますか

三枝さんの第3作ですが、相変わらずすごいです。
仕事は、緊張の中で真剣にやらなければいけないんだなということを思い起こさせます。

また、企業は人の「やる気」が一番大事で、人のやる気を出すために、きちっとした戦略を立て、目的を徹底し、成果を出していくのだ、ということをこの本を通して言われているように思います。

今回の舞台である太陽産業アスター事業部は、改革の中でスモール・イズ・ビューティフルということで、組織をBUに分解することを選択します。ここに描かれてあるのは、まさに僕が以前いた事業部でやろうとしたことです。「創る、作る、売る」のサイクルを小さな体制で実現し、意思決定を早くする。人が事業責任を持つようにし、経営者を育成する。そういうことです。

少しガンバリズムというか、「男は仕事、女は家庭」的な少し古い仕事観であるところは、年代的にしょうがないんでしょうね。


2017年1月10日火曜日

中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚 / 洪自誠 (2007)

人生足るを知る、といった、道教、儒教、仏教の教義をないまぜにした教訓集ですが、多くは当たり前のようなことに思いました。
いくつかは心に響くものもありました。
  • 与えた恩は忘れ、受けた恩は忘れない。
  • 死に際になって、取り乱さなくてすむように、常日ごろから物事の本質や道理を見極めておかなければならない。
  • 自分本来の心を静かに見つめる努力によって自分という人間がわかるものである。
  • 人の上に立つ人間は、軽々しくふるまってはならない。それはまわりに流されて軽薄な行動をすると、心の落ち着きを失うからである。とはいっても、あまり重々しいのもよくない。柔軟な発想ができなくなったり、きびきびした行動がとれなくなったりするからだ。
  • よいことをしても、それが他人に知られることを期待するようなら、偽善にすぎない。
  • 清廉潔白でありながら、しかも包容力があり、思いやりを持ちながら、しかもすぐれた決断力を持っている。頭脳明晰であるが、他人の考えをやみくもに批判したりはせず、正直であるが、他人の言動に口を挟まない。このような硬軟両面を合わせ持った人こそ、立派な人物と言える。
  • 幸せも不幸も同じことと見なし、喜びも悲しみも忘れ去る。人生の達人は、こうした生き方ができる人のことである。