2016年12月18日日曜日

ワーク・シフト / リンダ・グラットン (2012)

孤独と貧困から自由になる働き方の未来図《2025》

2025年の世界を予想して、働き方を「シフト」させることを提案しています。
これからの世界をを考えるにあたり、5つの要因があるそうです。
  1. テクノロジーの進化
  2. グローバル化の進展
  3. 人口構成の変化と長寿化
  4. 社会の変化
  5. エネルギー・環境問題の深刻化
その未来には次の3つの暗い側面があります。
  1. いつも時間に追われ続ける未来
  2. 孤独にさいなまれる未来
  3. 繁栄から締め出される未来
逆に、3つの明るい側面もあります。
  1. コ・クリエーションの未来
  2. 積極的に社会とかかわる未来
  3. ミニ起業家が活躍する未来
漫然と未来を迎えると、暗い側面が現れ、主体的に築くと明るい側面が現れる。
そのうえで、次の3つのシフトを提案しています。
  1. ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
  2. 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
  3. 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
ここに描かれてあることは、日本にありがちだと思っていたことです。思った以上に世界でも同じ状況なんですね。教授がロンドン在住であることも影響しているのでしょうか。

2016年12月10日土曜日

理系思考 / 大滝令嗣 (2005)

~エンジニアだからできること~

大滝先生は、会社の研修の講師に来られたことがあり、そのフランクな人柄でマネジメントについていろいろ教えてくれました。
その関係で少し気になり、この著書を読んでみました。
理系の思考方法を解説した本ではなく、エンジニアを応援する本でした。理系の会社にいる今の僕にとって興味深い内容でもありました。

まず大滝先生は、東芝に入りショックを受けます。ヒエラルキーの無駄、年功主義の無駄の中で、つぶしのきかないエンジニアを量産している日本社会に対してです。エンジニアは自律を重んじ自分の専門性にプライドを持つ。
やはりそうなんだ、と思わされます。どうしても「企業」は業績第一のもと、いろいろなことを管理したがり、業績にインパクトを与えない仕事はやめたがります。

そんな中であっても、大滝先生は東芝で「本当にやりたいことはアンダー・ザーテーブルで」という不文律も教わります。こういったことがあるから東芝も脈々と生き残ってきたのでしょう。

また、エンジニアであっても、人脈は大切、ということも説いています。「ビジネスとは、ピープルビジネスである」「ドント・バーン・ザ・ブリッジ!」。文系であろうと理系であろうと関係ありません。
海外経験が豊富で、理系から文系分野で仕事をしている大滝先生だからこそ、説得力があるんでしょうね。

理系だけが新たな価値を創造する、とエンジニアにエールを送っています。理系の息子にも聞かせてあげたいです。

序章 「つぶしのきかないサラリーマン」になるという危機感
第1章 エンジニアを大切にしない日本
第2章 見方を変えれば、今の仕事もうまくいく
第3章 いつか、人の上に立ったとき
第4章 エンジニアを卒業するなら
終章 エンジニアは錬金術師

2016年12月3日土曜日

仕事で「一皮むける」/ 金井壽宏 (2002)

関経連で2001年に、経営者20人にインタビューした結果を報告書にまとめたのですが、それを金井先生が新書版に編集し直したものです。
それぞれのインタビューの「さわり」を書いているだけなので、その時のバックグランドなり、大変さは正直わかりません。
ちなみに、 カテゴライズすると下のようなケース数になるようです。
  • 新規事業・新市場開発などゼロからの立ち上げ (20)
  • 悲惨な部門・業務の事態改善・再構築 (10)
  • 昇格・昇進による権限拡大 (7)
  • 入社初期の配属 (5)
  • プロジェクトチームへの参画 (4)
  • はじめての管理職 (2)
  • ラインからスタッフ部門・業務への配属 (2)
  • その他、移動・配置など (12)
修羅場と言えるようなものすごい体験をしてそうな人もいますし、それほどでもないような人もいます。
全編読んだ正直な感想は、「なんだその程度の経験でいいのか」ということでした。
僕だって、事業の立ち上げ時期に関わったことがあるし、20年に一度のプロジェクトにも加わったことがある。潰れかけの事業部門にいたこともある。
この本を読んでわかったことは、その経験から何を学ぶか、だということです。
いくら大変な経験をしても、そこから教訓を得なければ、単なる経験だし、どんな小さな経験でも、そこから大きな気づきを得られれば、一皮むける経験になります。
それは、どれだけ正面から向き合ったかということなのか、感性なのか。

奇しくもこの本でも「他人の『一皮むけた経験』を読んでも、一皮むけることはない」と書かれてあります。経験を「持論」にしていかかなければならない。
これを機に、自分の人生を見つめ直して、整理し直してみようという気になりました。

また、「40過ぎたら『ジェネラティビティ(世代性)』が必要」ということも書かれてあります。つまり、次世代の人を育てよ、ということ。僕の苦手分野ですが、意識していかないとね。

2016年11月26日土曜日

気分はもう戦争 / 矢作俊彦・大友克洋 (1982)

まあ、30年ぶりに読みました。大学のときに買った本は、卒業の時に誰かにあげたので。

カバーには「ニューウェーブの旗手 大友克洋」と書かれてあり、「そうか、ニューウェーブかぁ」と思いました。
当時は音楽でもニューウェーブってことが言われてましたもんね。
子供むけの漫画ではなく、大人向けの劇画をベースにした漫画ってところが新しかったのかな?

改めて、大友克洋の絵ってかっこいいなあと思います。葛飾北斎の影響も感じますが、完全に独自の絵画観を確立しています。
江口寿史が影響を受けたように、大友前と大友後で、漫画の世界が変わったんじゃないでしょうか。漫画家が好きな漫画家でしょう。

一方で、矢作俊彦のストーリーが軽妙で、当時の大友克洋原作の他の漫画も含めてこれが一番好きです。

2016年11月18日金曜日

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと / マーカス・バッキンガム (2005)

The One Thing You Need to Know : ...about great managing, great leading, and sustained individual success
by Marcus Buckingham

原題の通り、マネジメント、リーダーそして個人の継続的な成功について、それぞれ知っておくべきたったひとつのことがある、と説いています。

過去の著作では、マネジメントでは部下の強みを活かし、個人も自分の強みを活かすようにしなければいけない、と言っていましたが、今回はそこから少し進化した主張となっています。

簡単にまとめると、それぞれのたったひとつのことは、

  • マネジャー:部下の個性や強みを活用することに集中せよ
  • リーダー:未来を明確にあざやかに描き、人々を一致団結させよ
  • 個人:継続的に成功するには自分がしたくないことを見つけ、それをやめよ
ということだと思います。
個人の継続的な成功の部分については少しわかりづらい展開ですが、著者自身の経験に基づいているようです。

上のように主張しながらも、本人はマネジメントに向いていないというあたり、なんだか親近感がわき、いままでの著作とは少し趣を異にしているように思います。

いずれにしても、リーダー、マネジャーについて必要なことを、端的にそして明確に示してくれるのはありがたいです。

2016年11月6日日曜日

問いかける技術 / エドガー・H・シャイン (2013)

確かな人間関係と優れた組織をつくる
Humble Inquiry: The Gentle Art of Asking Instead of Telling

結局、うまく問いかけられていないなあ、と思って読んでみようと思いました。

「技術」と書いてますが、ハウ・ツーはほとんどありません。
原題にあるように「謙虚に」問いかけることの重要性を縷々説いています。
特定の答えを期待して質問してはいけないし、誘導的な質問もダメ。謙虚に問いかけるのです。
それがよい人間関係の始まりなのです。

アメリカの文化では、問いかけることよりも、自分が話す文化だと言います。
課題志向の社会と人間関係志向の社会の対比が、話す文化と問いかける文化の対比と対をなして説明されています。
課題遂行には人間関係のバックボーンが必要だとも説いています。

なるほど。
仕事生活でも家族生活でも生かせればな、と思いました。


2016年10月20日木曜日

China 2049 / マイケル・ピルズベリー (2015)

The Hundred-Year Marathon by Michael Pillsbury

アメリカの中国通である著者が、痛烈に中国を批判しています。
著者は過去'60年代から'80年代にかけて、アメリカと中国の懸け橋になり、この時代にアメリカと中国は急速に接近していったようです。
ところが、天安門事件を機に一気に関係が冷え込み、それとともに著者は中国についての見方を変えていったようです。
あれだけ信頼していたのになんだ!ということなんですかね。

著者によれば、天安門事件から中国が変わったのではなく、毛沢東の時代からいつかは世界一になろうと、使える国は使うという姿勢だということです。(少し恨みが過ぎて、ちょっと言い過ぎのように思います。)
昔の春秋戦国時代の、人の裏をかいて、うまくだまして相手をやっつける、というのが中国人の頭に刷り込まれており、それと同じことを現代にもやっている、ということを主張しています。赤壁の戦のようなだましだまされ、の世界観ですね。100年計画で世界の覇者になろうとしている、のだと。政治的にも、経済的にも、軍事的にも。

そして、予想以上にアメリカの力が低下してきているので、中国が覇権をとるのはより近づいている、と予想しています。
しかも中国が覇権国になると、現在の中国がやっていることが押しつけられ、今とは全く違う非常に住みにくい世界になる、と。

著者に言わせると、中国の指導者は偏狭な情報で世界を見、他国を信じない世界観で世界を見ているそうです。アメリカによる中国大使館の誤爆のときに、江沢民を中心とした中国の指導者たちは、アメリカによる意図的な爆撃だと断じて、ほぼアメリカと断絶状態になります。衝撃ですね。もっと多くの事実を集めて、平たく議論してほしいですね。

仮に著者の言う通りだとしても、果たしてあの時の鄧小平の決断は正しかったのか?という疑問はずっとあります。
著者は言います。「胡耀邦や趙紫陽ではなく、鄧小平や江沢民を信じたのは間違いだった」と。そのとおり。鄧小平は胡耀邦を切り、趙紫陽を切り、後を保守派(筆者に言わせればタカ派)に委ねてしまった。そう決断してなかったら、中国はまた違った道を歩んでいたのではないかと思います。(著者はそうではないと言いそうですが)
僕は鄧小平は、本物のマルキストではなかったのではないかと思っています。もしかしたら毛沢東も。西洋諸国からの尊厳を守るための一番の近道が共産党だったんではないでしょうか。しかし、彼ら第一世代が死んで、次以降の世代は体制の存続が主体となりますよね。維新のときの徳川家しかり、第2次大戦のときの天皇制しかり。
一方で、この勢いのある中国を排除することはできません。少なくとも経済的にはうまく利用する側に回らないといけないと思います。