2025年12月7日日曜日

AKIRA / 大友克洋 (1984-1993)

改めて1〜6刊を買い直して一気読みしました。
改めて読んでみて気づいたことがあります。それは、僕は当時3刊までしか読んでなかったこと。
どうも途中で読むのをやめてたみたいなんですね。
4刊が出たのが1987年、5刊が1990年で、その間に僕にも大友克洋にも大きな変化がありました。
僕は大学を卒業して社会人になり、大友克洋は AKIRA の映画化に取り組みます。
映画化に伴い、漫画の進捗が遅れたようです。
僕は社会人になるに伴い、使える時間が少なくなってしまって、「AKIRA」の優先順位が下がってたのかもしれません。元々週刊漫画を読む習慣がなかったので、余計ですね。

で、改めて読んでみて再確認したこともあります。
絵の情報量が多い、ということです。
コマ割り、セリフ、コマの背景に至るまで細かく、手抜きがない。
というか、手抜きしてるのかもしれませんが、絵が上手なのでひたすら見入ってしまいます。
全部きっちり見てたらストーリーに追いつきません。

大友克洋全集版の方でも言及しましたが、大友克洋の作品の中でも群を抜いて面白い作品です。
若者に焦点を当ててるのと、スタイリッシュという点が他との違いでしょうか。
スピード感があって、暴力的でもあり、ジャンクでもあります。
サイバーパンクの先駆けとなったのは必然、大友克洋のどこにそんな力があったのか。
映画、音楽などのカルチャーからの影響が大きいのかも。

ストーリー的には鉄雄の膨張あたりから迷走気味になりますが、何とか最後にはエンディングを迎えることができました。
イマイチ訳が分からない部分もありますが、元々ストーリーを綿密に組み上げていないものなので、よくここまで持って行ったなと思います。

最後は少年たちの世界に戻るところがホッとします。最初に戻る的に。
週刊誌への連載版ではその部分がなく、単行本化に伴って追加したようですが、そのセンスも抜群。

先輩が「AKIRA」が好きすぎて、自分の子供の名前を「アキラ」にしたのを思い出しました。

https://www.kodansha.co.jp/titles/1000000003

2025年10月7日火曜日

塞王の楯 / 今村翔吾 (2021)

2022年の166回直木賞受賞作。
「エンターテインメント戦国小説」という触れ込みですが、まさにそんな感じ。

関ヶ原前夜の大津城の戦いを舞台に、石積みの穴太(あのう)衆と鉄砲製作の国友衆の戦いを描いています。
穴太衆が盾、国友衆が矛というわけですね。
最後は壮絶な大砲と石垣の戦いで、ハラハラドキドキの展開です。
もちろん大砲対石垣の戦いがあったわけではなく、ほぼフィクションのはずです。

前半は穴太衆の石垣作りと主人公匡介の生い立ちなどが丹念に描かれていて、後半で怒涛の戦に流れ込みます。

舞台となった大津城の戦いは実際にあった戦で、慶長5年9月7日から15日まで行われました。
重要なのは、9月15日という日付。関ヶ原の合戦が9月15日なので、大津城に留め置かれた西軍は関ヶ原に参戦できなかったことになります。
その留め置かれた西軍には、西国無双と言われた立花宗茂や毛利元康がおり、西軍にとってはかなり痛手だったようです。

実際の戦いでも立花軍は大砲(大筒)を使い、小説にあったように近くの山から城に撃ち込んだ記録がありますので、これに着想を得たのでしょうか。近くの山から天守に命中させるのは至難の技だったと想像できますが、高度な鉄砲製作技術の進歩があったんでしょうね。
小説では、対する城方の穴太衆の奮闘が息を呑む展開になりますが、鉄砲の技術、石積みの技術・技能という点では、SF的要素も感じました(サイエンスという意味で)。

大津城主は京極高次。テニスの知り合いの京極さんに話を振ったら、やはり京極高次のことは知ってて、西軍から東軍に寝返った裏切り者的に言ってました。


https://lp.shueisha.co.jp/tatexhoko/

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