2025年10月7日火曜日

塞王の楯 / 今村翔吾 (2021)

2022年の166回直木賞受賞作。
「エンターテインメント戦国小説」という触れ込みですが、まさにそんな感じ。

関ヶ原前夜の大津城の戦いを舞台に、石積みの穴太(あのう)衆と鉄砲製作の国友衆の戦いを描いています。
穴太衆が盾、国友衆が矛というわけですね。
最後は壮絶な大砲と石垣の戦いで、ハラハラドキドキの展開です。
もちろん大砲対石垣の戦いがあったわけではなく、ほぼフィクションのはずです。

前半は穴太衆の石垣作りと主人公匡介の生い立ちなどが丹念に描かれていて、後半で怒涛の戦に流れ込みます。

舞台となった大津城の戦いは実際にあった戦で、慶長5年9月7日から15日まで行われました。
重要なのは、9月15日という日付。関ヶ原の合戦が9月15日なので、大津城に留め置かれた西軍は関ヶ原に参戦できなかったことになります。
その留め置かれた西軍には、西国無双と言われた立花宗茂や毛利元康がおり、西軍にとってはかなり痛手だったようです。

実際の戦いでも立花軍は大砲(大筒)を使い、小説にあったように近くの山から城に撃ち込んだ記録がありますので、これに着想を得たのでしょうか。近くの山から天守に命中させるのは至難の技だったと想像できますが、高度な鉄砲製作技術の進歩があったんでしょうね。
小説では、対する城方の穴太衆の奮闘が息を呑む展開になりますが、鉄砲の技術、石積みの技術・技能という点では、SF的要素も感じました(サイエンスという意味で)。

大津城主は京極高次。テニスの知り合いの京極さんに話を振ったら、やはり京極高次のことは知ってて、西軍から東軍に寝返った裏切り者的に言ってました。


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