2017年2月17日金曜日

業務改革の教科書 / 白川克、榊巻亮 (2013)

―成功率9割のプロが教える全ノウハウ―

業務改革の手法を探してこの本を読みましたが、少し中身が違いました。
手法ではなく、プロジェクトの進め方の本でした。

著者は、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(僕も過去に一緒に仕事させてもらったことがあります)のコンサルタントで、その数多くのプロジェクト経験をもとに、「こう進めたらいい」、「こういうところが落とし穴」、といった経験則が率直に、体系的に語られています。
面白いのは、章立てとは別に、各項にアルファベットがつけられていて、ちょうどAからZまでになっていることです。プロジェクトの進め方ABCということでしょうか。

著者の経験の範囲は、広い意味では業務改革プロジェクトなんでしょうが、狭い意味ではシステム構築を伴うプロジェクトが多いのではないかと推測しました。

コンサルという立場上、どうしても社外の目での指摘でもあり、そういう意味では限界があるのでしょうが、なかなか的を射たものも多くあり、共感もできました。プロジェクト管理の教科書的な表現や定見はほとんどなく、本当に経験から導き出されたもののようなのがいいところじゃないでしょうか。
「教科書」と大仰なタイトルになっていますが、確かに手元に置いて、いろんな局面で参考にしたいような本です。

しかし、「成功率9割」というのは、何をもって成功というのかの定義がそれぞれなので、何とも言えません。僕の知っているシステム開発を伴うプロジェクトは、100%の満足度で終結したことはありませんでした。プロジェクトは途中で曲道を迎え、行き止まりを回避しながら、どこかで妥協し、成功と言える一線を引き直し、ある種の不満を抱えながら終結するからです。をれを「成功率9割」というのは、コンサルタントとしての真摯さを疑いますが、出版社がつけたサブタイトルかもしれませんしね。