2017年8月11日金曜日

ORIGINALS / アダム・グラント (2016)


誰もが「人と違うこと」ができる時代


サブタイトルの「誰もが「人と違うこと」ができる時代」というのは少しずれているような気がしますが、オリジナリティというのは特別な人のものではなく、普通の人に備わっているもの、というのが著者の言いたいことです。
そういう意味もあって、この本の中では突飛なことは言われておらず、どれも聞くと「当たり前」に思えるものばかりです。

ただし、オリジナルな人になるには少し飛躍やコツが必要です。

例えば、クリエイティブなアイデアは、多作から生まれる、といったこと。多作であるがゆえに優れたものを出す確率が上がります。モーツアルトしかりダビンチしかり。優れたアイデアを出せ、ということではなく、多くアイデアを出せ、ということは何か自分でもできそうな気もしますが、やってみようとすると意外と難しいような気もします。

あるいは、同調性の回避。どうしても今ある常識、価値観、満足感にとらわれ、新しいことを発送するのが難しくなります。また、人間関係を円滑に進めるために、人に同調することも必要でしょう。僕なんかは同調圧力に負けやすいというか、同調志向が高い方の人間なので、健全な議論、といったものが得意ではありません。

あと、ちょっとの勇気。

オリジナルな人生を歩もうよ、という応援の書のように思えました。

なお、本書では、ものすごい量の知識と多くのケースが描かれてありますので、 一部を備忘として書いておきます。
  1. 変化を生み出す「創造的破壊」
    • 眼鏡のオンラインビジネスを始めたワービー・パーカーの4人の創業者
  2. 大胆に発想し、緻密に進める
    • セグウェイの失敗
    • TV番組「となりのサインフェルド」の成功
  3. “無関心”を“情熱”へ変える法
    • CIA分析官による情報共有プラットフォーム構築
    • バブル社のディズニーへの売り込み
  4. 賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ
    • キング牧師の締め切りとの闘い
  5. 「誰と組むか」が勝敗を決める
    • ルーシー・ストーンとアンソニー、スタントンとの確執
  6. 「はみ出す人」こそ時代をつくる
    • ジャッキー・ロビンソンは長男ではない
  7. ダメになる組織、飛躍する組織
    • ポラロイドの凋落
    • ブリッジウォーター社の社風
  8. どんな「荒波」も、しなやかに乗りこなせ
    • ルイス・ピュー 北極海での遠泳
    • ミロシェビッチを退陣させた草の根運動