また、西洋美術はやはりキリスト教との関係が深く、特に絵のテーマでは圧倒的な影響力があります。キリストやマリアそのものを描いたり、聖書の内容を遇したり。結局はパトロンの言いなりなんでしょうね。職業絵描きは職人であり、現在のアーティストのように自らを表現するというより、注文主の意向を忠実に表現する、という立場だったと想像できます。言い換えれば、美術史は自らの表現への拡大の歴史とも言えるのではないかと思います。
一方で、美術史は前提の否定、タブーへの挑戦、新しい表現方法への開放の歴史とも言えます。特にそれが顕著になってきたのが、後期印象派以降。ヴァン・ゴッホ、ゴーガン、セザンヌは、自らを絵で表現することと、絵の前提の否定で画期的だったと思います。パンドラの箱が開けられたように、アートは拡散していきます。マティス、カンディンスキー、クレー、ピカソ、モンドリアン...
僕が一番興味を惹かれたのは、素朴派です。日曜画家から大成したアンリ・ルソー、郵便配達夫退職後絵に専念したヴィヴィアン、70歳を過ぎてから絵を描き始めたグランマ・モーゼス、きれいにうまく描こう、という意気込みはなく、自分の表したい内容を描く、それが共感を得るのでしょうね。
- 紀元前5000年~紀元0年 西洋美術のルーツ
- 紀元0年~10世紀 キリスト教徒多種異文化の混合時代
- 11世紀~14世紀 かつて暗黒時代と言われた中世
- 15世紀~16世紀 古典と科学と人文主義のルネサンス時代
- 17世紀~18世紀 芸術が一般人にも浸透したバロック・ロココ時代
- 19世紀 テーマはより個人的になった19世紀の技術
- 20世紀~現在 疑念と表現の問題は現在まで進行中