2021年1月4日月曜日

祈りの海 / グレッグ・イーガン

Oceans / Greg Egan

90年代の中短編を日本独自に編集した一冊ですが、僕は、SFは長編より、短編の方が好きです。

SF はいつも根柢の前提を覆してくれます。もしもこの世の中がこうだったら、人間はどうなるのか?

しかし、Greg Egan はよくもまあこれだけ違うシチュエーションを思いつくもんだと感心します。

そして、この中短編集でも、様々な「もしも」で、僕の宗教感、思想、意識をくすぐってきます。なかなか沁みついた常識をはなれることができず、ストーリーを理解するのが難しいところもありますが、それだけに味わい深い展開になっています。

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