2021年7月23日金曜日

華氏451度 / レイ・ブラッドベリ (1953)

Fahrenheit 451 / Ray Bradbury

紙は華氏451度(摂氏233度)になると燃え始める。本を焼くというテーマからつけられた題名です。

文体(と言っても訳文ですが)は非常に独特で、こんな書き方をする作家は初めてでした。
ややもすると難解に感じられるほど、細部を書き込んでいます。

全体は3部で構成されていますが、それとは関係なく前半と後半に分かれます。ちょうど分量も。
背景描写を丹念に書き込んだ前半が静だとすると、後半は一気にダイナミックに展開し、大きくストーリーも動きます。

こんなのをよく映画化したなと思いますが(Truffaut の映画は実際観ていません)、後半はアクション映画に向いているかもしれません。

戦後のマッカーシズムへの異議申し立てとして焚書というテーマを取り上げたのはちょっと無理を感じましたが、これがクライマックスへ結実していくというのは想像がつきませんでした。

サイエンス・フィクションというよりは、カルチャー・フィクションって感じでしょうか。


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