2022年1月26日水曜日

OTOMO THE COMPLETE WORKS 8 童夢 / 大友克洋 (1980/2022)

「童夢」を初めて読んだのは大学生の頃やから、もう35年も前になりますね。夜なか中読んで、朝まで眠れなかった記憶があります。

映画的コマ割りと、緻密かつリアルな表現、ハイパーなストーリーに惹きつけられました。

もともと大友克洋の名前を知ったのは、もちろん江口寿史でした。大友克洋の画風に影響を受けていると公然と言ってましたから。「すすめ!!パイレーツ」の最後半あたりから影響が見えてました。
あと、吉田秋生ね。

先輩の下宿に行くと、大友克洋の単行本があって、夢中で全部読みましたね。「ショート・ピース」「ハイウェイスター」「さよならにっぽん」、中でも一番面白かったのは「気分はもう戦争」だったかな。

大友克洋の漫画はずっと絶版状態が続いていて、中古市場で出回っているだけでしたが、今回こうして全作品集が再発されることになって、本当に喜ばしい限りです。本当はデジタルの方が良かったんですが。
ちょっと値は張りますが、装丁と大友克洋自身の回想等がちょっと追加されてることを思えば、安いものだろう、と。

正直、30年ぶりくらいに読んだので、ストーリーは忘れてました。子供と超能力というキーワード程度は覚えていたのですが。おかげて新鮮に読めました。

やっぱ、リアルな人間表現、緻密な背景、建物の破壊シーンの表現力はすごいですね。

改めて見ると、大友克洋って、北斎に大きくな影響を受けているんじゃないかと思いました。特に人間表現、北斎漫画的です。
背景は、アシスタントの高寺彰彦がほぼ一人で書き上げているといいます。他の漫画家の漫画に比べて、背景の重要度が高い大友漫画ですので、音楽のバック・ミュージシャンと同様に、クレジットしてあげたらいいのに、と思います。

今回「8」から刊行されましたが、今後にも期待します。

https://otomo-complete.com/list/details/9784065262634.html