2022年7月3日日曜日

OTOMO THE COMPLETE WORKS 4 / さよならにっぽん / 大友克洋 (1977-78, 2022)

Complete Works シリーズの第4巻、第3巻と同時配本でした。
こちらも短編集を発表順に収録していますので、1981年発刊の日の丸鯨が印象的な表紙のオリジナル版「さよならにっぽん」とは内容が違います。

この頃になると、絵がこなれてきてますよね。
ストーリー展開、カット割も安定感が出てきたというか。

今回は、編集者からの提案で、初めて連載物に挑戦しています。表題の「さよならにっぽん」です。
舞台がニューヨークですが、なんとこの時大友克洋はニューヨークに行ったことがなく、街の風景は全て集めた写真集をベースにしたそうです。ちょっと違和感あるけど、まあそこそこいけてます。ちなみに、ファッションはソウル・トレインを参考にしたとのこと。
「さよならにっぽん」のタイトルははっぴいえんどの「さよならアメリカ さよならニッポン」からとったところは、前回紹介した、大友克洋の漫画と70年代音楽の共通性の証明でしょうか。

最後の「SO WHAT」がイカしてます。青春モノですが、主人公の顔なんかは「アキラ」の金田を彷彿とさせ、新しい一歩を踏み出したように感じました。

この頃の特徴として、出演者の顔の文豪が多い、というのもあります。大江健三郎、永井荷風、安部公房... 「昭和文学作家史」というのを参考にしてたらしいです。

なお、この短編集でも、多く音楽ネタが登場します。
「Minor Swing」の表紙は、ジャズ・ピアニスト Don Friedman "Circle Waltz" のジャケットからの一部引用ですし、"So What" はもちろん Miles。漫画の中には、Weather Report "Heavy Weather" や Bob Marley "Exodus"のジャケットも登場します。


  1. 雀が中 [漫画アクション増刊 1977年7月12日号]
  2. 天網恢恢疎にして漏らさず [漫画アクション増刊 1977年7月27日号]
  3. さよならにっぽん I [週刊漫画アクション 1977年8月4日号]
  4. さよならにっぽん II [週刊漫画アクション 1977年9月8日号]
  5. さよならにっぽん III [週刊漫画アクション 1977年10月20日号]
  6. さよならにっぽん IV [週刊漫画アクション 1978年1月5日号]
  7. さよならにっぽん V [週刊漫画アクション 1978年2月23日号]
  8. MINOR SWING [漫画アクション増刊 1977年8月24日号]
  9. GOOD WEATHER I [漫画アクション増刊 1977年9月21日号]
  10. GOOD WEATHER II [漫画アクション増刊 1977年11月2日号]
  11. さよならのおみやげ [漫画アクション増刊 1978年1月10日号]
  12. トウキョウ チャンポン [漫画アクション増刊 1978年5月13日号]
  13. SO WHAT [漫画アクション増刊 1978年6月10日号]


https://otomo-complete.com/list/details/9784065273128.html