2024年3月20日水曜日

OTOMO THE COMPLETE WORKS 2 / BOOGIE WOOGIE WALTZ / 大友克洋 (1974-76)

Complete Works シリーズの第2巻、大友克洋20歳〜22歳の作品です。
全て「漫画アクション」に掲出されたものです。

この頃はまだ漫画が上手くないですね。
大友克洋でもこういう模索時代があったことに驚きました。
背景が比較的雑で、カット割や絵がストーリーとして分かりづらい。
その代わり、実験的なコマの使い方や絵の表現が多いのも特徴です。
この巻の途中くらいからグッとよくなってきます。ものすごい成長だなと思います。
そういう意味では、最初の「BOOGIE WOOGIE WALTZ」と最後の「鏡地獄」では、随分印象が変わってますね。

ストーリー的には、ミステリーものが多いのと、都市の最下層を生きることの「どうしょうもなさ」を描いているものが多いですね。この傾向はしばらく続きますが。
若者らしく青春の葛藤を描いたものもありますが、全体的には大人の視点が中心で、20歳そこそこの人が描くような題材じゃないです。

巻末の解説で本人も言っていますが、当時「イラスト」に強く影響を受けていたとのこと。
ピーター・マックス、伊坂芳太良、宇野亜喜良の名前が上がっています。

また、同時にジャズの趣味も絵の中にのぞきます。
Miles Davis、Wayne Shorter、Charles Mingus らのアップが突然背景に描かれています。
本人曰く、この時期 "On the Corner" に衝撃を受け、Weather Report にハマっていたそう。
"Mysterious Traveller" が出たのが1974年ですから、リアルタイムですね。
ちなみに "BOOGIE WOOGIE WALTZ" は Weather Report  の3枚目のアルバム"Sweetnighter" に入っている Joe Zawinul の曲で、バンドのファンキー路線への転換点となる重要曲です。

  1. BOOGIE WOOGIE WALTZ [週刊漫画アクション 1974年4月25日号]
  2. BOOGIE WOOGIE WALTZ [週刊漫画アクション 1974年5月23日号]
  3. ONE DOWN [週刊漫画アクション 1974年7月4日号]
  4. 目覚めよと呼ぶ声あり CHORAL PRELUDE WACHET AUF -「コーラル」より前奏曲 [週刊漫画アクション 1974年8月15日号]
  5. 心中 -’74- [週刊漫画アクション 1974年10月3日号]
  6. 傷だらけの天使 第一話「暗夜行路」 [週刊漫画アクション 1974年10月31日号]
  7. 傷だらけの天使 第二話「パック 糞面白くもなかった今日の終わりに」 [週刊漫画アクション 1974年12月5日号]
  8. 傷だらけの天使 第三話「短距離走者の連帯」 [週刊漫画アクション 1975年2月6日号]
  9. 傷だらけの天使 第四話「醜悪の軋み」 [週刊漫画アクション 1975年3月6日号]
  10. 傷だらけの天使 第五話「チュンパラブギウギチュンパラブギ」 [週刊漫画アクション 1975年6月5日号]
  11. 傷だらけの天使 第六話「スカッとスッキリ」 [週刊漫画アクション 1975年8月7日号]
  12. 辻斬り [漫画アクション増刊 1975年8月23日号]
  13. 傷だらけの天使 第七話「ROCK」 [週刊漫画アクション 1975年11月27日号]
  14. [漫画アクション増刊 1976年1月3日号]
  15. 鏡地獄 [別冊漫画アクション 1976年3月12日号 原作:江戸川乱歩]

https://otomo-complete.com/list/details/9784065273203.html