2015年11月14日土曜日

14歳からの哲学 考えるための教科書 / 池田晶子

最初は考えることとは何か、から入り、少し面倒な感じがしたし、科学(物質科学)よりも精神を優先する考え方はなじまないところもあったが、はっと気付かせてくれることもいくつかあった。

まず、自分を愛する、ということだ。自分を愛せない人がどうして他人を愛せるのか。愛するということと愛されたいということは、全く違うことを言っている。
ホイットニー・ヒューストンの歌にもあるように、自分を愛することは最も大切なことなのだ。自分の可能性を信じることができる人になってはじめて、人を応援できるようになる。

それと、死の意味と「今」ということだ。
宇宙は膨大な継続が続いており、僕もその継続、そして宇宙の一部である。地球上の生物はDNAのキャリアととらえたのは、ドーキンスだった。その意味で死というは意味を持たない。したがって死は恐れることではないのだ。
死を恐れず、「今」は自分の可能性をただ応援すること、そういう生き方を続けることだ。

すべてのものは二度作られる。人の「理想」が現実を作り上げる。これも忘れてはならない。

2015年11月7日土曜日

ジャック・ウェルチのGE革命 / ノエル・M・ティシー, ストラトフォード・シャーマン

ジャック・ウェルチは前世紀後半のアメリカ企業をリードしたスター経営者であるのはもちろんだが、いまだに日本でも最も影響力のある人ではないだろうか。

この本の日本版の題名には「革命」という言葉が使われているが、本書を読むとまさしく「革命」的だということが分かる。事業を売り買いし、従業員を不安に陥れ、新しい価値観を示し、組織内の討議で価値観の共有を進めていく。ある意味、共産主義革命や毛沢東のやり口と似ているのかもしれない。

驚愕なのは、こうしたことを始めたのが、GEが業績的に絶好調だった時だ、ということである。リーダーにとって、時代を見通し先取りする力の重要性が分かる。あるいは、ウェルチが傍流の小さな事業部門出身だということも関係しているのかもしれない。巨大な官僚組織や内向きの組織風土に辟易していた、ということは容易に想像がつく。

いずれにしても、こうしたことを進めていくには、驚異的な精神力が必要だろう。アイデアを思い付いても、強力な抵抗に合い、精神的にズタズタになるからだ。最後の本人へのインタビューで、「多くの人に同意を得ようとしすぎで、実行が遅くなってしまった」と言っているように、強靭な精神力で力づくで推進していったのではなく、ウェルチ自身も悩み、苦しみながらも、タフでフェアな経営者たらんと努力した結果なのだということも感じられ、少し安心した。

この本は、偉大な経営者や改革を進めた当事者の自慢話ではなく、改革の途中の社内の混乱や抵抗も描いた、トゥルー・ストーリーです。