前半は、セカンド・マシン・エイジの進展ぶりを語り、後半ではその進展による、来るべき未来の社会の姿と対策に言及していますが、圧巻なのは前半部分です。
マシン・エイジとは工業化社会のことで、ファースト・マシン・エイジは、蒸気機関の発達と電気社会の到来です。産業革命以来、人類は今までの数百万年の歩みから、一気に別次元に飛びました。
同じことが、AIとロボット化によって現在進行中で、それがセカンド・マシン・エイジとのことです。Googleによる自動運転自動車を典型的な例として、想像できない世界へ飛躍していく可能性を語っています。
セカンド・マシン・エイジは、ハード、ソフト、ネットワークにおける
- 指数関数的高性能化
- デジタル化
- 組合せ型イノベーション
という3つの特徴を持って進んでおり、それにより爆発的にテクノロジーが発展していくというものです。最高性能のメインフレームと同性能が今やiPadに、音声や画像の認識技術、センサーとの組み合わせ...
おのずと、機械と人間との関わりや、労働のあり方といったものも、新たな時代に入るでしょう。明るい未来もあれば、弊害も出てきます。
本書は「運命を決めるのはテクノロジーではない、私たちだ」という言葉で締めくくられています。
- 第1章 人類の歴史の物語
- 「技術は神からの贈り物、おそらくは生命の次に重要な贈り物だ。技術は文明、芸術、科学の母である」フリーマン・ダイソン
- 第2章 機械とスキル
- 「高度に進歩した技術はどれも魔法と見分けがつかない」アーサー・C・クラーク
- 第3章 ムーアの法則とチェス盤の残り半分
- 「人類の最大の欠陥は、指数関数を理解できないことだ」アルバート・A・バートレット
- 第4章 デジタル化の大波
- 「自分が話すことを数字で表せるなら、そのことについて少しは理解していると言える。だが数字で表せないなら、たいして理解しているとはいえない」ケルヴィン卿
- 第5章 組合せ型イノベーション
- 「いいアイデアを出したいなら、まずはできるだけたくさんのアイデアを持たなければならない」ライナス・ボーリング
- 第6章 人工知能とデジタル・ネットワーク
- 「この驚くべき電気機械……この機械によって計算やいろいろなことがはるかにたやすくできるようになった……これはおそらく、驚異的な進歩の前兆である」ピエール・テイヤール・ド・シャルダン
- 第7章 セカンド・マシン・エイジのゆたかさ
- 「経済学上の誤謬の大半は、パイの大きさは決まっており、ある人が大きく切り取ったら他の人の分は小さくなるという思い込みに由来する」ミルトン・フリードマン
- 第8章 GDPの限界
- 「国民総生産は、高貴な詩作も知的な議論も数えない。人類の機知も勇気も、知恵も学びも、思いやりも博愛も。つまりGNPはあらゆるものを計測するとしても、人生を価値あるものにする要素は計測しない」ロバート・F・ケネディ
- 第9章 セカンド・マシン・エイジの格差
- 「貧富の不平等は、あらゆる共和国に最も古くからある致命的な病である」ブルタルコス
- 第10章 最強の勝ち組はスーパースター
- 「普通の人間50人分の仕事は、1台のマシンでこなすことができる。だが並外れた人間の仕事は、どんなマシンでもこなせない」エルバート・はバード
- 第11章 ゆたかさと格差は何をもたらすか
- 「すでにゆたかな人がよりゆたかになるかどうかではなく、あまりに貧しい人にどれだけ十分に与えられるかどうかによって、我々の進歩は測られる」フランクリン・D・ルーズベルト
- 第12章 個人への提言
- 「コンピュータなんて役に立たない、答えを出すだけなんだから」パブロ・ピカソ
- 第13章 政策提言
- 「たびたび変更される一時的な宗教である。だがその政策が有効である間は、使徒の熱意をもって追求すべきだ」マハトマ・ガンジー
- 第14章 長期的な提言
- 「労働は、人間を人生の三悪、すなわち退屈、悪徳、困窮から救ってくれる」ヴォルテール
- 第15章 テクノロジーと未来
- 「人間を自然の難題から遠ざけてくれるように思われた機械の利用は、反対に人間を一層きびしくそれらの問題に直面させることになる」アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ