2016年7月30日土曜日

芸術新潮 特集 This is 江口寿史 (2016/1)

僕が若い頃以降、ほんと漫画描いてないですよね。
いくら漫画描かなくても、僕の中では至上一番の漫画家です。

途中から画風が大友克洋の影響を強く受けるようになりましたが、この雑誌では大友克洋と江口寿史の対談も載っています。「ストップひばりくん!」のときに大友克洋の漫画に触れ、大友克洋は「童夢」を連載している途中だったということが語られています。なるほど。また、江口イラストの特徴である、鼻の描き方の変遷についても語られています。ふむふむ。

原画もいっぱいあり、最高ですね。

思えば、江口寿史の漫画は、田舎者の僕にとって、ポップ・ミュージックの窓でした。佐野元春、パールピアス、音楽殺人、Clues、B-2 Unit.....いまだイラストはポップしてると思います。
ウォーホル、リキテンスタイン、北斎、広重が好きというのがよくわかります。

今年から漫画を描きたい、ということで期待しています。

2016年7月20日水曜日

花神 / 司馬遼太郎 (1972)

NHK大河ドラマでやったのは、僕が小学生の頃でしょうか。中村梅之助や篠田三郎、志垣太郎の顔とあわせて、何となく覚えています。
こんな地味な主人公でよく1年間もったな、と思います。
活躍したのはたったの3~4年で、しかも人に嫌われていたといいます。

第二次征長戦での活躍と、戊辰戦争での指揮により軍神とあがめられますが、なぜ彼が軍神たり得たのかは正直理解できませんでした。
第一級の蘭学者であったことから、海外の兵法書に直接かつ豊富に触れることができたことが大きいのかもしれません。数理と論理を重んじる姿勢もいい方に作用したのは間違いありませんが、一方で独断専行型の行動を取っているのが理解しづらいところです。すべて成功したからよかったようなものの、失敗したら大損害を与えていたでしょう。あるいは、戦争においてはぶれない指針というものが必要なのかもしれず、彼はそれを知り抜いていたのかもしれません。

司馬遼太郎は、革命を仕上げる役割として村田蔵六をあくまで「技術者」として描いています。
この小説が書かれた昭和の高度成長期においては、遠大な構想力と行動力を持ったリーダーとそれを支える優秀な実務者が必要とされていました。司馬遼太郎の小説が売れたのは、こういった高度成長の原動力となった人たちから絶大な支持を得たからにほかなりません。
この「花神」はそういった実務者への応援歌とも捉えられます。

2016年7月10日日曜日

嫌われる勇気 / 岸見 一郎・古賀 史健 (2013)

これは、アドラーの心理学なのか、それとも岸見氏の哲学なのか。
『7つの習慣』の中には、このアドラーの思想が色濃く反映されています。

もともとキリスト教的な個人主義的傾向が強いようにも思いますし、実際キリスト教の格言も出てきます。
ただ、アメリカ的な「夢」至上主義ではないので、少し安心できます。
  • 人の評価から解放されよ
  • 幸福とは貢献感である
  • 人生は刹那の連続である
という主張は、シンプルで力強い指針だと思います。
  • 他者の課題に介入しない
  • 他者はあなたの期待を満たすために生きているのではない
  • 「この人は私に何を与えてくれるのか?」ではなく、「私はこの人に何を与えられるか?」を考えなければならない
私は家族との関係で、人間関係についていろいろ学習しましたが、この本で言われていることは、それを裏付けるものです。

「いま、ここ」で一生懸命生きないとね。