2016年7月20日水曜日

花神 / 司馬遼太郎 (1972)

NHK大河ドラマでやったのは、僕が小学生の頃でしょうか。中村梅之助や篠田三郎、志垣太郎の顔とあわせて、何となく覚えています。
こんな地味な主人公でよく1年間もったな、と思います。
活躍したのはたったの3~4年で、しかも人に嫌われていたといいます。

第二次征長戦での活躍と、戊辰戦争での指揮により軍神とあがめられますが、なぜ彼が軍神たり得たのかは正直理解できませんでした。
第一級の蘭学者であったことから、海外の兵法書に直接かつ豊富に触れることができたことが大きいのかもしれません。数理と論理を重んじる姿勢もいい方に作用したのは間違いありませんが、一方で独断専行型の行動を取っているのが理解しづらいところです。すべて成功したからよかったようなものの、失敗したら大損害を与えていたでしょう。あるいは、戦争においてはぶれない指針というものが必要なのかもしれず、彼はそれを知り抜いていたのかもしれません。

司馬遼太郎は、革命を仕上げる役割として村田蔵六をあくまで「技術者」として描いています。
この小説が書かれた昭和の高度成長期においては、遠大な構想力と行動力を持ったリーダーとそれを支える優秀な実務者が必要とされていました。司馬遼太郎の小説が売れたのは、こういった高度成長の原動力となった人たちから絶大な支持を得たからにほかなりません。
この「花神」はそういった実務者への応援歌とも捉えられます。

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