2017年9月20日水曜日

人工知能は人間を超えるか / 松尾豊 (2015)


人工知能は人間を超えるか ~ディープラーニングの先にあるもの~

人工知能は人間を超えるのか、その日は、いつやってくるのか?


東大の松尾准教授が、人工知能を解説してくれます。
第1次ブーム、第2次ブームを経て、現在第3次ブーム。
これまでの人工知能の発展をそのブームの山とともに分かりやすく伝えてくれます。
たぶんかなり難しいことを、いたって簡単に、いろんな例えを用いて、それこそ素人にわかるように書かれてあり、すべてを理解したとは言えませんが、人工知能ってこんな感じか、というのが分かりました。

人工知能についての方法論のほとんどは黎明期に出されたものだったのですが、ディープラーニングが、ブレークスルーをもたらしそうだということのようです。
それまでの人工知能は、第2次ブームのエキスパートシステムのように、大量のデータと正解がこれというのを教え込む必要があったのを、自分で正解はこれ、というのを導き出せるようになる感じですかね。

ちゃんとは理解できませんでしたが、入力画像に対して同じ画像を正解として入力し、さらにノイズを入れるのがディープラーニングだそうです。データの圧縮も絡んでいるらしいです。
人工知能の世界では、将棋で勝つことより、猫を認識する方が何倍もすごいことのようです。将棋は黎明期から研究が続けられている「探索」の世界で、簡単に言えば選択の分岐を大量に考える、ということの延長だそうです。猫を画像として認識するのは、ビッグデータによる機械学習の結果とディープラーニングがないと成功しないのかな。入力されたデータを「概念化」して、これって猫のパターンだな、というくらいまで複数認識し、ちょっと違うデータも混ぜることによって、より抽象度を高める。手書きの「3」を大量に読み込み、これが「3」という概念を認識し、最後にこれが「3」だ、と名前を付けてやる。
こういった「概念化」って人間のやってることだなあ、となんとなく思いました。

タイトルは売れるように調整しているのでしょう。内容的には人工知能の解説です。
「人工知能は人間を超えるか?」という問いに対する著者の答えは、「超える」ですが、おそらくそこまで到達するのはまだまだ先だ、と著者は考えています。
ターミネーターのような世界が来るとは思えない。人工知能を前に進めてきた著者ならではの実感でしょう。

2017年9月10日日曜日

ダントツ経営 / 坂根正弘 (2011)

―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」―


ザ・製造業の社長といえるのではないでしょうか。
世界の流れを見通し、アメリカ駐在の経験を生かしてアメリカの強みと弱み、日本の強みと弱みを理解し、製品開発においては何を犠牲にするかを強要する。思い切ってリストラし、現地の経営を現地の人に任せる。
ここには、製造業の進むべき道が示されています。

コムトラックスに少し興味があって読んでみたのですが、思いのほかいい本でした。

それにしても、おっさんの顔を大写しにしたカバーはちょっといただけないですね。電車では読めません。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110411/266554/