I, Robot / Isaac Asimov
冒頭で、ロボット工学三原則が示され、小説ではこの原則によりロボットの行動が解き明かされていきます。
第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条:ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条:ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
この三原則はアシモフの創作で、ロボットが人間を襲う的なフランケンシュタイン・コンプレックスに対する安全装置です。
同じ三原則をテーマとした短編集ですが、全体としては、USロボット社の主任スーザン・キャルヴィンの回顧録という形を取っており、一貫性が保たれています。
このキャルヴィンは、なんと「ロボット心理学者」であり、三原則に則りロボットがどういう思考回路で、なぜ不可解な行動を取るのかというのを解明していきます。そんなような職業が今後出てくるとは思えませんが、三原則も含めこのへんがアシモフの独創性の高さでしょうね。
1950年という、第二次世界大戦が終了して間もなくの頃に、こういった完成されたロボットの小説を書くというのはすごいことだなと思いました。2021年の現代ではまだ産業用ロボットがほとんどで、人型ロボットはニーズすらはっきりしませんが、ピノキオにあるような、人に仮託するものは想像がしやすいのかもしれません。
- ロビイ(Robbie):子守りロボット「ロビイ」と少女グロリアの物語
- 堂々めぐり(Runaround):水星の採鉱ロボットの救出劇
- われ思う、ゆえに…(Reason):ロボットの存在意義の自覚
- 野うさぎを追って(Catch that Rabbit):6台のサブ・ロボット付ロボットの行動
- うそつき(Liar!):人間の心が読めるロボット?
- 迷子のロボット(Little Lost Robot):第一原則が改変された実験型ロボットを見つけ出せ
- 逃避(Escape!):人工頭脳による星間航行用エンジンの設計
- 証拠(Evidence):政治家はロボット?
- 災厄のとき(The Evitable Conflict):ロボットによる統治