第一期が遅れて、代わりに第二期の最初の配本が始まることになったらしい。逆にありがたい。
「AKIRA」はヤンマガに連載されてましたが、単行本化するにあたり、少し手を入れている模様。加筆、修正、削除、差し替え、ページやコマの入れ替え、仕上げの追加、描き下ろし、各話の扉絵の削除等々。それらをできるだけ連載当時のものに戻したのが今回の Complete Works の模様。どっちもいいけど、すでに単行本が出回っているので、価値をつけようとすると、そういうことになるのね。
いずれにせよ、改めて読むとそれまでの作品に比べてダントツに面白い。
ストーリー的には、主人公たちが若者であること、近未来を描いていること、超能力を主題にしていることなどが面白さを際立たせている理由でしょう。
主人公たちは15歳という、極めて若い年代。怖いもの無しで極端、どの時代でも通じる若者像です。
それにファッショナブルでもあります。それまでの大友克洋作品にはないパターンの。暴走族という、一見オールドファッションな世界でありながら、身なりはこぎれいなんですよね。顔立ちも端正だし。
絵の爆破シーンとか建物が壊れるシーンは、「童夢」以降お手のもの。それに速さの描写や表現が素晴らしく、ストーリー展開と相まって、全体的にスピード感のある作品になっていると思います。そこも魅力ですね。
映画からの影響も強く感じられます。何という技法かは知りませんが、次のシーンに前のセリフが被さるのは多用されてますし、光源の加減で影が大写しになるような表現もあります。面白いですね。
時代は2019年。すでに過ぎてますが、2020のオリンピックを控えた東京が舞台で、東京オリンピックを予言しているところにまず驚きました。実際はコロナで2021年になりましたが。
さすがに1982年じゃ携帯電話までは予想できてなかったようで、通信手段は電話的なものか口頭です。物語に登場するようなかっこいい形のバイクは開発されていません。
ちなみに、主人公の「金田」というのは、大友克洋が敬愛する「鉄人28号」からきているとのこと。アキラの番号も28号。ちなみにのちなみにでいうと、鉄人28号の「金田」はプロ野球のピッチャー金田正一からきているらしい。確かに鉄人やからね。
残念なのは、巻末に他の Complete Works シリーズのような「解説」がついていないこと。「AKIRA」全巻の最後にあることを期待します。
- 第1回 ヤングマガジン1982年12月20日号
- 第2回 ヤングマガジン1983年1月3日号
- 第3回 ヤングマガジン1983年1月17日号
- 第4回 ヤングマガジン1983年2月7日号
- 第5回 ヤングマガジン1983年2月21日号
- 第6回 ヤングマガジン1983年3月7日号
- 第7回 ヤングマガジン1983年3月21日号
- 第8回 ヤングマガジン1983年4月4日号
- 第9回 ヤングマガジン1983年4月18日号
- 第10回 ヤングマガジン1983年5月2日号
- 第11回 ヤングマガジン1983年5月16日号
- 第12回 ヤングマガジン1983年6月6日号
- 第13回 ヤングマガジン1983年6月20日号
- 第14回 ヤングマガジン1983年7月4日号
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