2016年9月19日月曜日

WORK RULES! / Laszlo Bock (2015)

書名から、グーグルでの新しい「働き方」の本かと思いましたが、これは「人事」の本でした。
採用、評価、教育、福利厚生といった分野でのグーグルでのやり方、を紹介しています。
グーグルの文化である自由、公平、透明性などと人事のやり方との共存を探った姿を表した本ともいえます。

評価の公平性を求める姿はいたってベーシックなものですが、一方で報酬は不公平に、とも言っています。しかし、報酬はインセンティブではなく貢献を称えるものではければならない、とも言っています。試行錯誤しているんでしょうね。

人事の専門知識をベースとしながらも、IT業界・グーグルという会社に適応し、成果を上げているところが素晴らしいと思いました。
人事の専門知識がある人は、えてして経営的・個別側面に目を向けず、個別経営課題に適応できないか、その逆のことが多いと思いますが、グーグルではこれを両立させています。

また、このグーグルの人事(ピープル・オペレーションズ)の特筆すべきところは、データ分析を重視する姿勢です。
グーグルらしく、社員からアイデアを募り、アンケートをとり、必要に応じてインタビューする。人事の3分の1は分析力に優れた専門家を雇う。実験を多く行い、結果を検証する。採用における科学的アプローチも刺激的です。おそらく、社員の実績と採用時の内容を検証しているのでしょう。IT企業らしく、ITの力を十分に生かしています。

人事というのは、とかく国ごとの労働慣行の違いを言われることが多いと思いますが、ここに描かれてあることのほとんどは、国の違いを超えた普遍性を持っていると思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿