Solaris / Stanisław Lem
映画で見る宇宙の生命体(主に知的生命体)が、何か地球の生物に似ているのに、いつも違和感を感じてました。
眼が二つあったり、手足があったり、言葉を喋れたり。
地球上の生物の形は、必然なのか偶然なのか。
生命のためには、水が必要というが、本当なのか。
知性は、たんぱく質でできたニューロン細胞の中に宿っているが、この物質的なフォーマットが必要なのか。果たして知性とは何か。精神とは何か。
レムのこの小説は、まさしくそういう疑問に正面から取り組んだ、ぶっ飛んだ作品です。
惑星ソラリスの「海」は、人間から見ると「知性」のように見える振る舞いをします。
形態としては「海」であり、まったく人間の形態と違います。
人間の記憶に働きかけて、一番深い意識のものを複製します。
意識があるようにも、ないようにも捉えられます。
人間の常識とはかけ離れすぎています。
ニュートン力学で見る世界に対して、アインシュタインの世界は理解を超えているのに似ています。自分の身の丈以上のものは理解しがたいのです。旧世界はコペルニクスを理解できず、地球上の力学はアインシュタインを理解できず、アインシュタインは量子力学を理解できませんでした。
小説としては、ディテイルを書き込むスタイルで、読み進めるのにかなり努力が必要でした。伊藤若冲の絵は、微細が素晴らしいですが、これが全体のイメージを決定づけています。そぎ落としていくのもいいですが、必要以上に詳細化するのもスタイルなんですね。
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