2022年6月6日月曜日

OTOMO THE COMPLETE WORKS 3 / ハイウェイスター / 大友克洋 (1976-77, 2022)

Complete Works シリーズの第3巻、短編集を発表順に収録していますので、1979年発刊のオリジナル版「ハイウェイスター」とは内容が違います。
オリジナル短編集とは3篇しかダブっていませんので、まったく別物と言っていいでしょう。

今回の全集では、1976年、77年に発表された短編になり、大友克洋22歳、23歳の頃の作品になるようです。

画がやっぱり独特ですよね。
キャラクター的な顔の表現ではなく、あくまでリアリティにこだわるというか。
美しく整えられてもなく、かといって印象的でもなく。どこにでもいるような人たちが主人公です。
画については、北斎漫画からの影響を十分感じます。

僕が初めて読んだのは、大学生の時、先輩の下宿ででしたが、なんだろう、ストーリーがドラマチックではなく、僕が知っている漫画とは全然違っていて、意外と印象には残りませんでした。
どっちかというと僕は江口寿史から大友克洋に移った人なので、画への注目が一番でしたが、こうして改めて短編集を読んでみると、ストーリーもなかなか面白いですね。
漫画とか劇画とかの範疇を超えていて、どっちかというと日常を切り取ったアメリカの映画やアメリカのポピュラー・ミュージックを感じさせます。
音楽で言うと「はっぴいえんど」みたいな感じ。

ちなみに、タイトルの「ハイウェイスター」というのは、Deep Purple の有名曲からとったようです。
その他にも、Miles Davis の "Round About Midnight" (表紙も)、Milton Nascimento 版の "Nothing Will Be As It Was" も音楽からとったタイトルのようで、このあたりも洋楽を感じる一因なのかもしれませんね。

あんまり期待していなかった分、得した気分です。


  1. アメリンゴ [週刊漫画アクション 1976年4月8日号-15日号]
  2. 酒井さんちのゆきえちゃん [別冊漫画アクション 1976年7月16日号]
  3. 犯す [漫画アクション増刊 1976年8月9日号]
  4. ハイウェイスター [漫画アクション増刊 1976年9月1日号]
  5. CHUCK CHECK CHICKEN [漫画アクション増刊 1976年11月3日号]
  6. School-boy on good time [漫画アクション増刊 1976年12月3日号]
  7. 夢の蒼穹 [漫画アクション増刊 1977年1月7日号]
  8. 宇宙パトロール・シゲマ [漫画アクション増刊 1977年2月1日号]
  9. 'ROUND ABOUT MIDNIGHT [漫画アクション増刊 1977年4月5日号]
  10. NOTHING WILL BE AS IT WAS [漫画アクション増刊 5月13日号]
  11. WHISKY-GO-GO [漫画アクション増刊 1977年6月14日号]
  12. 星霜 [別冊漫画アクション 1977年7月1日号]


https://otomo-complete.com/list/details/9784065273180.html


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