2018年2月6日火曜日

会社人間が会社をつぶす / パク・ジョアン・スックチャ (2002)


ワーク・ライフ・バランスの提案


この本が出されたのは、なんと2002年。今から15年も前になります。
今でこそ「ワーク・ライフ・バランス」は共通語ですが、当時の日本ではなじみのない言葉だったと思います。僕がまだブラック業界であるIT業界にいたころです。その後、5年ほどしてから部下が「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を言い出したように記憶しています。

90年代初頭のアメリカでは、不況によるレイオフなどで社員のモラルが下がる中、「ワーク・ライフ・バランス」に取り組むことが回生の近道であることを悟ったこと、そして共働きが一般的になってきたこととIT技術が発展したことが「ワーク・ライフ・バランス」が拡がった背景にあります。

フォード財団のプロジェクトの紹介が最も印象に残りました。制度やプログラムではなく仕事そのものの見直しに焦点を当てた取り組みであり、意識・風土改革(既成概念の見直し)に続き、仕事のやり方を見直すステップで進めたようです。当時はやっていた「リエンジニアリング」との違いを、社員と企業のwin-winの関係性に求めています。

この新しい考え方を日本にも紹介しようという意図でこの本は書かれたと思いますが、十数年を経て、今の日本は「働き方改革」の大合唱です。ただそこにあるのは残業時間削減や年休取得率向上といった外形の枠ばかりであり、社員の充実した人生へのサポートや仕事の見直しは置き去りにされています。だから、社員側としては「やらされ感」「押しつけ感」しかないのかもしれません。

15年前に書かれた本にすべての解が書かれてあることに驚きました。

http://book.asahi.com/reviews/column/2011072801357.html
https://drive.google.com/open?id=10zJOtRax5UxjcKCEnjGTgiAaZOR0AeHIg30qVozzdQ8

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