2018年3月24日土曜日

イシューからはじめよ / 安宅和人 (2010)

知的生産の「シンプルな本質」

issueとは、「重要な点、論(争)点、問題(点)」。
生産性高く仕事をするには、何をテーマにすべきか、ということが一番大事、ということです。どう解決するか、ではなく。
答えを出すべき問いに答えを出せ、ということですね。
確かに、仕事してると、みんな答えを出したがりますよね。解決策というかソリューションというか。「何をするのか」というより、どういう問題意識を持っているのか、ということが大切だというのは、僕も気づいていましたが、さらに問題意識を選ばないといけないんですね。

手あたり次第、問いに答えを出していくのを、筆者は「犬の道」と言っていますが、犬の道ではいくらやってもよい成果に結びつかない。うさぎ跳びをいくらやってもイチローにはなれない。

よいイシューの条件とは「本質的な選択肢である」「深い仮説がある」「答えを出せる」とのこと。
よいイシューを選んだあと、仮説を立て、アウトプット(答え)に結びつけ、メッセージを明確にして届けるべき相手に届ける。そのあたりのノウ・ハウもふんだんに公開してくれてます。

難は、少し抽象度が高いこと。賢い人だとこれくらいのがいいのかもしれません。

序章 この本の考え方―脱「犬の道」
第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
第2章 仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第3章 仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする
第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める
第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる
コラム:「コンプリートワーク」をしよう

2018年3月20日火曜日

生産性 / 伊賀泰代 (2016)

マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

「生産性」について明快な方向性を指し示してくれる貴重な本でした。
各章は、いくつかの大きなパートに分かれているように思います。

第1パート

  • 序 軽視される「生産性」
  • 1章 生産性向上のための4つのアプローチ
  • 2章 ビジネスイノベーションに不可欠な生産性の意識
  • 3章 量から質の評価へ
ここでは、生産性の必要性と、投入量(=分母)の削減だけではなく、成果(=分子)の最大化にも取組む必要性と、分子の効果が大きいということを言われています。
成果の最大化に必要なイノベーションのためにも生産性の意識が重要だと。

第2パート

  • 4章 トップパフォーマーの潜在力を引き出す
  • 5章 人材を諦めない組織へ
ハイパフォーマーレベルではなく、希少なトップパフォーマーを成長させ活用することが企業全体の生産性向上につながるが、現在の日本企業はそれに失敗している(逆に足を引っ張っている)、ということと、圧倒的多数の普通の人のやる気維持こそが重要なのに、現在の日本企業はそれにも失敗している(不要な人扱い)、という主張です。

第3パート

  • 6章 管理職の使命はチームの生産性向上
  • 7章 業務の生産性向上に直結する研修
生産性向上に向けた、上司や人事の役割のことです。上司は年に一回は(懐かしの)「事業仕分け」ならぬ「業務仕分け」をせよ、とか研修では「ロールプレイ」が効果的、といったことを述べられております。

第4パート

  • 8章 マッキンゼー流 資料の作り方
  • 9章 マッキンゼー流 会議の進め方
これは幾分かハウ・ツーの部分をついでに紹介してくれた、というニュアンスでしょうか。ただ、資料のつくり方(「ブランク資料を作る」とか)は意外と一番参考になります。

ベストセラーになるだけあって、分かりやすく、かつ核心を突き、明快な良書だと思います。

https://docs.google.com/document/d/1WlRJNU5nElsU30F-nTJr8m1jhxwX6tzD_wWgVOV0cHw/edit

2018年3月6日火曜日

高校生からわかる イスラム世界 / 池上彰 (2010)

高校生に対する講義を本にしたようです。この人の話は、ホントにわかりやすい。頭の中がきれいに整理されているんでしょうね。
イスラム教の起こりや、基本的な教義という基本的なところを抑えたうえで、
  • スンニ派とシーア派(イラン革命)
  • イスラム原理主義と過激派(イラク問題)
  • 中東問題
  • 湾岸戦争と9.11(アフガニスタン、タリバン、ビンラディン)
  • イスラム金融
などを解説してくれます。

基本的な姿勢は、イスラム=怖い、という先入観を払拭したいということ。
特別な宗教ではなく、宗教であれば一般的に持っているようなユニークな教えがあるのは確かですが、大多数は普通の人で、中に過激な人がいる、ということです。

また、アラブの人たちが、自分たちはイスラム教徒であるという意識をより先鋭化させた、あるいは、パレスチナの人たちが、自分はパレスチナ人であるいというアイデンティティをより強くさせたのは、欧米の国々の身勝手な対応に遠因がある、ということも何回か触れられています。

それにしても、同じ神をあがめるユダヤ教、キリスト教、イスラム教が対立して抗争が生まれている、というのはおかしなものです。