―バッテル研究所―現代のピタゴラス集団
1983年といえば、僕が高3の時、さらに著者がバッテルに在籍したのは1977年から1981年なので、この本の主人公の時代は、もう40年も前になる。その時代において、このバッテル研究所は、コスモポリタンで短期的なキャリアを積み重ねるプロフェッショナルが活躍する舞台だったのだということが分かる。
欧米の「プロフェッショナル」のイメージはこの本が確立したのかもしれない。
この本では3部にわたって、合計13人のプロフェッショナルが紹介されている。それぞれ、「燃焼」「科目」「孤高」「能動」「自己表現」「好奇心」「国際人脈」「潜在能力」「開講」「牽引車」「大転身」「行動」「五感」というタイトルがつけられているが、タイトルだけでは言い表せないような、個々人の人生の厚みがある。いずれも母国から離れ、自分を試すことを人生の主題にし、2年~3年というタームで職を変えている。
この中でも一番気になったのが、「牽引車」のタイトルがあるジャン・クロード・リシュー氏である。彼はあらゆることに頭を突っ込み、普通ではない数の案件をこなすが、会議などはできるだけ避けるような唯我独尊タイプの人間だが、関わった案件ではロコモティブとして成約に結びつける力を持っているために、誰も文句を言わない。その彼が管理職に抜擢されてからは、見事にマネジメントの力を開花させ、あれほど避けていた会議も立派に運営し、チームの力を最大限に発揮することにやりがいを見出した。この「ロコモティブ」と「マネジメントへの変身」が何か心を打った。
https://docs.google.com/document/d/1H4q-dZF80vBnFnUTpjvNsZStrMwr3b20fA96t1X5JAE/