2015年10月17日土曜日

甘えの構造 / 土居健郎

最近「甘えの構造」という言葉を2度聞いたので、一度本を読んでみようと思った。

ここで言う「甘え」とは依存欲求のことであり、西洋社会と日本との対比の中で、日本はこの依存体質が特徴的な社会だということを縷々述べている。
もちろん、依存体質がいい、悪い、ということではなく、人と人との依存関係が強い社会だ、ということである。むしろ「甘え」の社会の豊かさを説いた本とも言える。

一番興味深く読んだのは、「甘えと自由」の項である。
自由(Freedom)は、西洋、特にキリスト教に特徴的な概念で、個人と神との関係の中で、個人が起立しているという思想だ、とのことである。個人主義と自由主義は、神との関係の中で結びついているのである。
そう考えると、自由主義というのは実はキリスト教の思想であり、人類普遍の思想ではかったのだ、ということに思い至る。アメリカが自由のために戦う、と言っているのは、キリスト教的信条の押しつけとも言える。戦後の日本はあまりに、このアメリカ的考え方に洗脳されてきたのだろう。もうすでに、個人主義、自由主義は「当たり前」のこととして考えられている。

明治のエリートはお国のために一生懸命だった。戦後のサラリーマンは会社のために一生懸命に働いた。こういうメンタリティは、少しずつ薄らいできている。日本人らしい「甘え」が少しずつなくなっていくが、それほどドラスティックにも変われない。これから日本人はどこに向かっていくのだろう。

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