2016年5月23日月曜日

ドラゴンは踊れない / アール・ラヴレイス

Dragon Can't Dance / Earl Lovelace
この小説の舞台は1964~71年くらいなので、そういった古き良き時代を懐かしんでいる話かと思って読んでましたが、'79年の出版なので、ほとんどリアルタイムでトリニダードの状況を映しているんですね。後で気づきました。

路上」や「墓に唾をかけろ」のような、あるいはSpike Leeの映画のような、読後感は"Heart beat"のような、でも全く違いますね。

年の1度のカーニバルのマスカレードでドラゴンを演じる仕事をしない"オルドリック"、スチールバンドの暴れ者のチンピラ"フィッシュアイ"、ヤードのよそ者インド人の"パリアグ"、カリプソの歌い手"フィロ"、それぞれの登場人物がそれぞれの人生を語って行く方法で進行します。それぞれの人生を縦糸に、トリニダードの歴史的背景、奴隷制度、カーニバルの意義、スチール(パン)バンドの商業化、ヤードの17歳"シルビア"との恋、そういったものを横糸に物語が進んでいきます。
小説の中盤のカーニバルを境に、大きくそれぞれの人生が動き、それぞれが何かを見つけていきます。

トリニダードのことは何も知りませんでしたが、いろいろ教えられました。
それにしても現地のスラングを交えた、独特の語り口のようですから、訳は大変だったんじゃないかと思います。

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