2016年5月2日月曜日

知識創造企業 / 野中郁次郎,竹内弘高

1994年に出されたこの本は、日本企業のケースをベースに、知識創造という視点で企業活動のあり方を論じています。

有名な、暗黙知と形式知の知識変換の4つのモード、すなわち「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」のサイクルが、松下電器、キヤノン、花王、シャープ、日産、キャタピラ三菱などの実例を用いて紹介されています。
また、組織的に知識創造=イノベーションが起こる条件として、「意図」「自律性」「揺らぎとカオス」「冗長性」「最小有効多様性」をあげています。
一見ムダと思える二重性や混沌とした状況を、いかに作り出せるかどうかにかかっている、というところに興味をひかれました。

一方で、この本で紹介されたその他のコンセプト「ミドル・アップダウン・マネジメント・モデル」や「ハイパーテキスト型組織」といった言葉は定着していないように思えます。

さらに残念なのは、二項対立からの飛躍を掲げながらも、日本的/西欧的といった二項対立から出発している点と、ここでケースとしてあげられた日本企業のいくつかが、その後苦境に陥ってしまった点です。基本的には「甘えの構造」と同じような文脈で語られていると思います。
これからの複雑化した世界では、日本も西欧も他もひとつひとつ特殊なのだというグローバル視点が必要とされているのでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿